私の幼い頃の暖房器具といえば、炬燵と石油ストーブだけでした。効きも遅いし、石油ストーブは、灯油がなくなれば注ぎ足さなければいけないしで、最近の床暖房やエアコンに比較するととても不便なものでした。しかし石油ストーブの記憶には楽しい思い出もあります。鉄板の上にアルミホイルを敷いて干しイモを並べて焼いたり、ぜんざいや甘酒を温めたり。
私の偏見ですが、家の中に生火を入れることのいちばんの醍醐味は、生火を使っての調理ではないかと思います。それを裏付けるように『火のある時間の過ごし方』と題したテーマを掲げる今号が、なんとおいしそうなこと。お釜で焚いたごはんや暖炉で焼いた栗、ダルマストーブで温めた酒や窯で焼いたピザ、薪ストーブで焼いたマシュマロやイモやトウモロコシなど、誌面からもほかほかと湯気が立ち上ってくるかのような、魅力的な写真がたくさん詰まっています。
寒い木枯らしの中、家の中で過ごす幸せを感じる一冊となりました。ぜひご一読ください。
【訂正とお詫び】
81号の記事に誤りがありました。P.32右下写真の説明文の「シュウメイギク」は、正しくは「シュンギク」です。お詫びし、訂正させていただきます。
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